【YouTube広告】動画広告でトップラインを伸ばすためにやった7つのこと

公開日
2022/02/14
更新日
2022/02/14
情報種別
手段や方法の説明
pre-postによる比較
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動画広告の運用で、こんな経験はありませんか?
  • コンバージョンで評価をすると、ダイレクトレスポンス型の施策と比較して見劣りする
  • 態度変容指標を目標にすることを試みるも、目標値を決められない
  • リーチ効率を目標にしようにも、妥当な目標値を決められない
  • 媒体のブランドリフト調査を実施するも、評価指標としてうまく活用できない
売上への直接的な貢献で評価をすると過小評価になり、売上げから切り離すと成果が曖昧になり続かない…。このように、動画広告では常に「可視化の難しい効果をいかに評価するか」という問題がつきまといます。
本記事では、このような悩みに向き合いながら取り組んだ、「動画広告でトップラインを伸ばすためにやった7つのこと」を、事例をもとにご紹介します。
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補足1:本記事でご紹介する事例の前提は以下です。 ・WEBでコンバージョンの計測ができる店舗型ビジネス(来店予約) ・動画広告予算は数百万円(月)。多い月で4桁万円。ほぼすべてYouTube 広告 ・態度変容指標(認知度、好意度など)の絶対値目標はない(社内に実績がない)・動画広告は新規リーチに特化する。リターゲティングは実施しない
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補足2:本事例は、統計的因果推論による効果検証の重要性を理解しつつも、人的・資金的な制約から実施できなかった背景があります。動画広告のような、広告効果計測ツールだけでは捕捉しきれない広告効果が期待される施策においては、因果関係を検証するための統計的手法によって、正しい比較のうえで効果を検証することが理想的です。しかし、本事例では、エリアごとのマーケティング施策、競合の影響力、自社のブランド力などが大きく異なっていたため、正しい比較のための環境づくりが難しい状況にありました。また、その他の手法でアプローチをしようにも、人的・資金的リソースを用意できませんでした。このような背景から、結果として「主に運用型広告に関連するデータを中心に意思決定をしながら動画広告を伸ばしていき、全体のお問い合わせ数を伸ばしていったストーリー」となりました。
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取り組みの結果

結果からお伝えすると、動画広告を本格的に開始してから約半年間で、以下の成果を得ました。(動画広告開始前後、それぞれ6ヵ月間の比較)
  • 全体予算に対する動画広告のシェア … 0%から25%に拡大
  • ダイレクトレスポンス型施策(※)のCPA … 約80%に低下 ※検索とリターゲティング広告
  • 全体のCPA … 約90%に低下
  • WEB施策全体のお問い合わせ … 約110%に上昇
もちろん、これが動画広告による影響だけとは考えてはいませんし、因果関係の検証もできていません。ですが、他のマーケティング施策や競合の動向、季節性などを鑑みても、動画広告による貢献が大きいと考えています。
以下より、取り組みから学んだいくつかのコツをご紹介します。

1.施策全体の目標の中で動画広告を運用する

動画広告に向き合うマインドセットとして、まずは「媒体や計測ツールで確認できる成果は、購買に与える影響として過小評価である」と信じることから始めました。
例えば、YouTube広告のコンバージョン(クリックスルー&視聴)やビュースルーコンバージョンは、当然ながら現実に発生したCVをすべて捕捉できているわけではありませんし、そもそもビュースルーコンバージョンは30日間しか追うことができません。
また、本事例では、動画クリエイティブを「開始5秒でブランドとカテゴリーを関連づけて記憶してもらう」ことにこだわって作成したので、広告がスキップされても(=クリックスルー or 視聴コンバージョンに計上されなくても)、ブランド認知を経て、中長期で購買行動に好影響を与えてくれると考えていました。
ですので、動画広告の基本方針として「WEB施策全体の投資効率が許容範囲に収まる限りは、動画広告で確認できる(見かけの)成果が悪くても止めない」ことにしました。私たちは、主に運用型広告の全般をお任せいただいていたのですが、加えて、自然検索やアフィリエイト等を含めた成果全体に対する目標と予算を共有いただきました。そして、その全体の目標(件数と広告効率)を達成している限りは動画広告への投資を続ける、という判断をしました。仮に自然検索経由でのお問い合わせが好調だったら、むしろ投資のチャンス!と考えて動画広告の配信を強める、というような感じです。このように、施策全体の成果を見ながら広告効果を評価することは、動画広告の運用においては特に重要なスタンスだと思います。

2.ビュースルーCVを含めたCPAを目標値とする

…といいつつも、やはり売上への貢献性が見えなければ継続は難しいものです。各種ツールで確認できるコンバージョンは過小評価だと理解しつつも、まったくコンバージョンが出ない、あるいはCPAが異常に高い、となれば話は別です。
ということで、動画広告単体にも目標CPAを設定しました。具体的には、「クリックスルー」「視聴」「ビュースルー」のすべてのコンバージョンを含めた管理画面のCPAを、「検索広告の一般ワードCPAの3倍」にしました。
ちなみに3倍の根拠は特にはありません。上述した(1)の基準があるので、3倍が妥当な目標であるかどうかはあまり重要ではありませんでした。
この(1)(2)の方針によって、「見えない価値を認めつつ、短期的な売上への貢献も確認する」という運用環境をつくりました。 (ちなみに、この方針で運用をした結果、調子の良い月では一般ワードの3倍どころか、1.5倍程度になりました。これはうれしい誤算でした)

3.ブランドワード検索数の傾向よりも、ダイレクトレスポンス型施策のCVRの傾向を見る

上述の方針で運用を続けていくと、ダイレクトレスポンス型施策(検索とリターゲティング広告)のCVRの傾向に変化が出てきました。
以下のグラフは、赤線が「検索広告の一般ワードのCVR」で、青線が「運用型広告の全体予算に対する動画広告予算の割合」です。19年の9月から動画広告の予算を大幅に増額し、その後、全体の成果を見ながら割合を調整していきました。多い月では、動画広告の予算は全体の40%にも及びました。 (さすがに40%まで高めると、上述した(1)の方針で投資対効果が合わなくなったので、翌月以降に調整を入れていきました)
  • 検索広告の一般ワードCVRは、19年4月を1.0とした相対値
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ご覧の通り、動画広告の開始後に徐々にCVRが上昇しているのが分かります。もちろん、他の施策や競合活動の影響もあると思います。前述の通り因果関係の検証はできていませんが、割とはっきりとした傾向が確認できたことから、動画広告が貢献したと考えています。
ちなみに、以下でも「動画広告はその他施策のコンバージョン増加に貢献する」ことを、事例をもとに紹介しています。これらの事例からも、全体の傾向を見ながら動画広告を運用することの大切さが分かります。
  • 参考情報①
  • 参考情報②
一方で、ブランドワードのインプレッション数は、増加の有無が分からない程度の変化しかなく、少なくともCVRほどの大きな変化はありませんでした。
たまに、
  • 動画広告は認知度の向上に有効である
  • そして、認知度向上の成果といえばブランドワード検索数の増加である
  • なので、ブランドワード検索数の推移を評価指標とすべきだ
という目標設定のシナリオを見かけますが、経験上、動画広告だけでブランドワードの検索数を増加させることは簡単ではありません。大きな予算(相対的に)が必要になります。
もちろん、その難しさは当該カテゴリー市場の成熟度合いや、ブランドの認知度によって異なります。例えば以下の例では、地域密着のビジネスをおこなう中小企業が動画広告を活用し、大きくブランドの検索数を伸ばすことに成功しています。 (TrueView for Action を活用してブランドワード検索数を30倍に)
一方、本事例のブランドは、ある程度の認知を得ている状態だったので、全体の20-30%程度の動画広告予算ではブランドワードの検索数を伸ばすには至りませんでした。
よって、 ブランドワード検索数の推移ではなく、そのサービス・カテゴリーを利用したいと思ったときにちゃんと候補に入れてもらうことだったり、「そのサービス・カテゴリーを検討する際にこのブランドの特徴(違い)が分かっている状態」だったりを、 動画広告の目的にしました。
それが、結果として「ダイレクトレスポンス型施策のCVRの上昇」として現れたのだと評価しています。

4.アカウントを分けてビュースルーコンバージョンを見る

上述の通り、本事例では、動画広告の目標を「ビュースルーコンバージョンも含めたCPA」で定めました。
その評価を最大限におこなうために、動画広告専用のアカウントをつくってYouTube広告を配信する」という工夫をしました。 その理由は、検索広告と同じGoogle広告アカウントで動画広告を運用をすると、検索広告やディスプレイ広告にラストクリックコンバージョンを奪われることがあるからです。
ちなみに、Google広告には、検索・ディスプレイ・動画広告を統合してコンバージョンの経路を確認できる「クロスネットワークレポート」という機能があります。これを利用すれば、動画広告の貢献を適切に評価することができます。
  • Google 広告ヘルプ
しかし、この機能にはビュースルーコンバージョンは含まれていません。また、利用できるプロダクトも TrueView for Action に限られています(21年1月現在)。よって、検索広告と動画広告のアカウントを一緒にすると、どうしてもビュースルーコンバージョンが隠れやすくなってしまいます
ちなみに、試しに「どれくらい検索やディスプレイ広告に、動画広告の最終接触コンバージョンが奪われるのか」を調べるために、1ヵ月間だけ検索広告と同じアカウントで動画広告を運用してみました。すると、動画広告キャンペーンの管理画面上のコンバージョンは、アカウントを分けて運用したときと比較して44%まで減少しました。そのうち、コンバージョン(クリック+視聴)は38%、ビュースルーコンバージョンは47%まで減少しました。短い期間での検証なので、このデータで全体の傾向を語ることはできませんが、参考にはなるかなと思います。
このように、ビュースルーCVを重要な指標とする場合は、アカウントを分けて最大限に評価する方法も有効です。

5.コンバージョンの評価期間を長く取る

もう一つ、動画広告の効果を最大限に評価するためにやったことがありますそれは、「ビュースルーのコンバージョン期間を長く取って評価すること」です。
これについても、ある簡単な調査をしてみました。
ビュースルーのコンバージョン期間を最大の「30日」にセットして、下記それぞれの時点のコンバージョン数(クリック+視聴+ビュースルー)を半年間記録し続けました。
1. 配信開始から30日時点 ← この時点で数字を記録(キャンペーンはここで停止) 2. 配信開始から60日時点 ← 改めて数字を確認
要は、「後追いコンバージョンがどれだけ発生するか」の調査です。管理画面の数字を定点で記録して、CV増加の傾向を見ました。 ( ちなみに、動画広告は半年間ずっと配信を続けながら、毎月広告グループを新設することで後追いCVを正しく集計できるようにしました)
結果として、すべてのコンバージョンのうち、上記①の期間で約60%、②の期間で約40%が発生しました。参考までに、この事例の「検索広告における平均コンバージョン期間」を確認すると、14~29日の間に発生するCVは全体のわずか3%だったので、いかに動画広告が「時間をおいてCVに貢献するのか」が分かりました。コンバージョン期間にここまで大きな差が出たことは驚きでした。

6.ブランドリフト調査はクリエイティブの改善指標として使う

媒体のブランドリフト調査を利用するも、評価指標としてうまく利用できない…というのは、動画広告運用の現場でよく見る光景の一つだと思います。
YouTube広告のブランドリフト調査では、「相対的リフト」と「絶対的リフト」の結果を得ることができますが、どちらもコントロール群とテスト群の間における効果の差しか説明していません。CPAやROASのように、広告がビジネス目標の達成に対してどれほどの効率で貢献したのかは、直接的には説明してくれません。
ですので、本事例ではリフト調査を「クリエイティブ改善の指標」としてのみに利用することにました。動画広告のビジネス目標達成に対する直接的な貢献は、上述した(1)(2)(3)の指標で広告効果を評価しながら、リフト調査ではクリエイティブの善し悪しだけを評価する、という感じです。
ちなみに、動画広告クリエイティブの評価に「視聴率」や「視聴単価」を用いることも、もちろん間違ってはいません。ですが、キャンペーンの入札戦略(キャンペーンの目的)によって結果が変化しやすい指標ですので、設計には注意が必要です。 (下記の記事ではその注意点に触れています)
その意味でも、ブランドリフト調査は 「広告 "目的" に対してクリエイティブの善し悪しを評価する」という点で、とても有効な機能だといえます。

7.フリークエンシーに注意する

動画広告運用では、適切なフリークエンシー設計が重要です。多すぎるとブランドへのネガティブな印象につながり、少なすぎると記憶に残りづらくなり、広告効率が低下します。
参考までに、GoogleとFacebookのフリークエンシー推奨設定についての情報をご紹介します。
ブランドリフト効果測定の過去データでフリークエンシー キャップ週 1 回と週 3 回を比較したところ、購買意向では 1.8 倍、比較検討で 3.1 倍、ブランド認知で 2 倍、また好意度では 1.9 倍の効果の違いが生まれていることがわかりました。
  • 引用サイト
広告想起はフリークエンシー上限が週1回を超えると伸びが大幅に鈍りましたが、購買意向の伸びはフリークエンシー上限が週1.5回に近づくまで勢いが衰えませんでした。購買意向のような態度変容には、それだけ高いフリークエンシーが必要だという仮説を裏付ける結果となりました。
  • 引用サイト
これらの情報から、どんな態度変容目的(認知、比較検討、購買意向など)であっても、少なくとも「週2~3回程度」の接触が望ましいようです。
ちなみにYouTube広告では、フリークエンシー「キャップ」が設定できますが、フリークエンシー「目標」を設定することはできないので、配信前にリーチプランナーを用いるなどして、ターゲットサイズとフリークエンシーとのバランスを計画することが理想的です。
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以上、「動画広告でトップラインを伸ばすためにやった7つのこと」でした。一つの事例からのお話ですので再現性は高くないかもしれませんが、動画広告運用のヒントになれば幸いです。

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