リターゲティングの実質CPA ~考え方の一例~

リターゲティングを通じてコンバージョンに至ったユーザーの中には、「本当はリターゲティングをしなくてもコンバージョンに至ったかもしれないユーザー」が含まれている可能性があります。もちろんキャンペーンの設計次第でその程度は変わりますが、その他の施策と比べて、リターゲティングはその可能性が高い性質を持っています。
いわゆる、リターゲティングにおける「インクリメンタルリフト(増分効果)」がどの程度なのかという点について、少しだけ参考になるかもしれない実験をしましたので、共有します。

背景

Criteoの配信金額が増加してきたことから、
  • 短期的な利益を優先するあまり、リターゲティングに予算を使いすぎではないか?
  • リターゲティングをしなくてもCVに至るユーザーにも広告を出しすぎていないか?
という議論が生まれました。
そこで、できる限り「リターゲティングでしか獲得できなかったCVのCPA」を考えてみることにしました。

取り組んだこと

以下の方法を試してみました。
  • ある期間、Criteoの「商品詳細ページ」のタグを外してみる
  • その外した期間について、「トップページ」と「商品詳細ページ」のCVR差を見てみる
ただし、この方法では、
  • それぞれのページに訪問したユーザーを考慮できていない(独立して比較ができていない)
  • 時系列でCVR差を見るため、時期的な影響を考慮できていない
という大きな問題がありますが、「何らかの傾向があればアロケーションプランの参考にする」という方針で取り組みました。

結果

以下の2つの期間で検証をおこないました。
  • 2月~3月:トップと商品詳細ページを含むすべてのページにタグが埋設されている
  • 4月~5月:商品詳細ページのみタグを外している
それぞれの期間とページについて、GAで「ページ別のCVR」を確認したところ、以下の結果を得ました。
トップは2つの期間でほぼCVRが変化していないのに対し、商品詳細ページはCVRが約62%まで低下した。これは「タグが埋設されていた時期は、商品詳細ページに来訪したユーザーのCVRが約162%上昇した」とも説明できます。
このリフト率を参考に「リターゲティングでしか獲得できなかったCVのCPA」を考えてみます。
例えば、ある月の「リターゲティングのCV数」が250件だったとします。これは、上記によって算出された「約162%だけCVRがリフトしたときの成果」と言えます。逆に言えば、約155件分(250÷162%)は「リターゲティングがなくても発生したCV数」と考えることができ、「リターゲティングでしか獲得できなかったCV」は99件(250件-155件)であると考えることができます。
この99件を当該月で使った広告費で割れば、「リターゲティングでしか獲得できなかったCVのCPA」を簡易的に算出することができます。

学んだこと

計算したところ、ラストクリックCPAと比較して、リターゲティングでしか獲得できなかったCVのCPA」は約2.6倍であることが分かりました。
検証の条件には問題があるものの、比較的大きな差が出たため、アロケーションプランの参考にすることができそうです。
リターゲティングの効果について考える際に、参考になれば幸いです。

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