【TikTok広告】TikTokでリタゲはやるべき? ~独特なリターゲティング仕様 ~
TikTokでリターゲティングを配信するためには「事前配信」が必要です。その他の主要な広告プラットフォーム(GoogleやFacebookなど)のように、タグを設置し、オーディエンスセグメントを作成をすればマークが蓄積される、というわけではありません。
ヘルプページでは十分な情報がなかったため、リターゲティング設定について調べたことをまとめてみました。
さらに、Tiktokの仕様やプラットフォームの思想から、コンバージョンを目的とする場合でも、「オーディエンスターゲティング配信だけの構成(=リターゲティングキャンペーンを切り出さない)方が望ましい」という結論にいたりましたので、その経緯も併せてシェアします。(22年2月時点の考察です)
①Tiktokでリターゲティングを実施する手順
前提
- カスタムオーディエンス(「リターゲティング」や「購入者の類似」など)を使用するには、リストのサイズは「1,000件以上」を必要とする
- オーディエンスリストは「Tiktok経由でピクセル発火した数」が反映される
- 広告セットの「最適化イベント」と、オーディエンスリストの「アクション」が一致すると「紐付けされた状態」になる
これらの前提から、リターゲティングを実施するためには、
- 事前にイベントをコンバージョンの最適化対象として設定した広告セットを追加し、
- 実際に広告を配信する
という手続きをおこなう必要があります。つまり、新規リーチ向けのターゲティング(年齢、性別といったユーザー属性や、興味関心などのターゲティング)を利用して、その広告経由でイベントを1,000件以上蓄積させる必要があります。
手順:サイト来訪者(ページビュー)をターゲティングする
上記を前提にして、以下に具体的な手順を記載します。
- ピクセルをサイトに設置、アカウント、キャンペーンを作成する
- 広告セットの作成で、最適化対象となる「ピクセル」、「最適化イベント」を選択
※イベントステータスが「使用中」のものを選択
※イベントの種類は任意
※「ページ閲覧」はデフォルトであるため、選択肢には存在しない(後述)
- (2)の広告セットで、カスタムオーディエンス以外のターゲティングで配信をする(デモグラ、興味関心、など)
- アセット>イベント管理>対象のピクセル>対象のイベント名の「帰属イベントはありません」の値が「1,000件以上/月」蓄積されるまで待つ
- 蓄積されたのを確認したら、以下の通りにオーディエンスリストを作成する(場所:アセット>オーディエンス>作成>ウェブサイト閲覧者>アクションを選択>ページビュー)
※リスト作成におけるアクションの「ページビュー」とイベント名の「ページ閲覧」は同義
※「ページ閲覧」のイベントはベースコードのデフォルト機能なので、ページビューのリストに勝手に蓄積する。例えば最適化イベントに別のCVポイントを設定していたら、同広告セットでページビュー用とCVポイント用の両方のリストが蓄積対象となる
- リターゲティング用の広告セットを作成し、対象のオーディエンスリストを選択
まとめ
- 広告セットの「最適化イベント」と、オーディエンスリストの「アクション」が一致すると「紐付けされた状態」になる。条件が一緒であれば、複数の広告セットのイベント数が同一のオーディエンスリストに合算される
- リスト作成におけるアクションの「ページビュー」とイベント名の「ページ閲覧」は同義
- 「ページ閲覧」のイベントは、ベースコードのデフォルト機能で蓄積できるため、これを最適化イベントに設定する必要はない(計測テストは不可)
- 基本的にリターゲティングの対象ページをURLで指定することはできない
※イベントタイプの「コンテンツを閲覧」(≒ページビュー)をタグのトリガーでコントロールすればページ指定はできそう。開発者モードじゃないと出来ないかも…?
- オーディエンスリストは事前に作成するより、イベントが1,000件を超過してからリストを作成する順のほうが確実に反映される(らしい)
- オーディエンスリストの推奨規模は「3,000件/月」以上とのこと
② キャンペーン方針のアイディア(キャンペーンを一本化した経緯)
リターゲティングキャンペーンを独立して作成することに価値はあるのか?
リターゲティングを実施する前に抑えておきたいのが、
- 同じ最適化イベントの広告セットを並走させることは推奨されていない
ということです。
※並走させると、各広告セットのコンバージョン数などが正確に計測されず、機械学習に悪影響を及ぼす恐れがあるとのこと
上述した①の仕様を踏まえて設定をすると、「リストを蓄積させるためのオーディエンス配信」と「リターゲティング配信」は、必然的に「同じイベント」に最適化対象を設定したくなると思いますが、これが「推奨されない行為」に該当します。
…ということで、非推奨行為を避けるために、以下の対応を検討してみました。
- オーディエンス配信で、ある程度までリストを蓄積させる(最適化イベント=CVポイント)
- リストが蓄積されたらオーディエンス配信を停止し、リターゲティング配信を開始する(最適化イベント=CVポイント)
「ページビュー」のオーディエンスリストは、これらの広告セットのイベント数が合算されますので、リターゲティング配信に切り替えた後でもリスト数を補うことは可能です(本アカウントの予算規模においては)。しかし、リターゲティング対象ユーザーの比率が高まってしまうため、成果を伸ばし続けることは難しいと判断し、このシナリオは却下しました。
リターゲティングを内包させた設計にするのが良さそう
TikTok広告の魅力のひとつは、高精度のターゲティングを可能にする機械学習アルゴリズムです。上述した複雑な仕様から、リターゲティング配信のためにターゲティングを狭めるよりも、機械学習に任せるほうが継続した成果が期待できると考えました。
よって、オーディエンス配信にリターゲティングも内包させ、ターゲティングに除外設定もせずに運用する方針としました。
※カスタムオーディエンスとその他のオーディエンスカテゴリは「and条件」になるため、カスタムオーディエンスは設定にいれていません。
上記のような背景も含めて、TikTokでも運用改善の柱はクリエイティブになります。少なくとも、以下のようなクリエイティブ体制を用意することが望ましいとされています。
- クリエイティブは1週間に1回以上差し替える(1週間に1回、2~3個の新規追加が推奨)
- ダイナミック広告を利用する(専用の広告セットで、10個までの画像もしくは動画をアップロード、5個の広告テキストを入力)
どうしてもリターゲティングを管理したい場合
「異なる最適化イベントを設けることで、オーディエンス配信とリタゲを並走できるようにする」という方法が考えられます。
具体的には、マーク蓄積用のピクセルを別で設置し(「コンテンツを閲覧」など)、そのピクセルを最適化対象とした広告セットを並走させる、という方法です。子の場合、リターゲティングでのターゲティングセグメントは「コンテンツを閲覧」を選択します。(「コンテンツを閲覧=ページビュー」ですので、オーディエンスリストの質が「ボタンクリック」と比較して低下することは回避できません)
その他:TikTok仕様メモ
- 地域(都道府県ごと)のパフォーマンスは確認できない
- 都道府県ごとの配信データはレポートで確認できない。分けて確認したい場合は、都道府県ごとに広告セットを分ける必要がある。
- プレースメントの注意点
- プレースメントタイプを「自動」にすると、接続している配信先が最適化される仕様となっていますが、とあるクライアントさんでは、99.9%が「Pangle」に寄って、その後も配信先の割合はほぼ変わらないという事象がありました。タイプの切り替えは後から変更できないので、「Tiktok面」を希望していれば最初から「手動」で面を指定することを推奨します。
- 手動入札の影響と方法
- 手動入札においても機械学習による最適化は「一定」期待ができる(とのこと)。
- 目的ごとに手動入札が可能な入札タイプは以下のとおり。
- キャンペーンの目的が「トラフィック」の場合
- 最適化目標「クリック」:入札タイプ「入札の上限」
- キャンペーンの目的が「コンバージョン」の場合
- 最適化の目標「コンバージョン」:入札タイプ「目標成果単価上限」
- 最適化の目標「クリック」:入札タイプ「入札の上限」
- 他のプラットフォームと比較して、TikTokのリターゲティングはやや複雑な印象だが、広く利用されているメニューなのか?
- Google 広告やFacebook広告と比較すると、広く利用されているとは言えない印象(筆者調べ)。オーディエンスの作成には一定期間内で最低1,000以上、推奨は3,000以上のコンバージョンが必要なため、この条件がハードルになっている印象。
以上です。参考になれば幸いです!