【B2B/SaaS】Facebook広告の類似配信のコツ ~類似拡張で獲得リードの質を高める~

SaaSビジネスにおける、Facebook広告の「カスタムオーディエンス」を活用例についてシェアします。
Facebook広告では、プラットフォームが保有するユーザー情報に適した切り口で自社の顧客リストを抽出してカスタムオーディエンスを作成すれば、類似拡張によって獲得できるリードの質を高められるかもしれません。

背景

現在、SaaSのリード獲得(中堅~エンタープライズ企業をターゲット)のために、Facebook広告でホワイトペーパー(導入事例集)を活用した広告配信に取り組んでいます。
その施策の一つとして、自社のCRMデータから有効リード(※)のみを抽出してカスタムオーディエンスを作成し、類似拡張で広告配信を行いました。 ※有効リードの定義:学生や競合他社などの「商談になり得ない無効なリード」を除いたリード
しかし、この類似拡張配信によって獲得したリードの約7割が、商談に繋がり得ない、あるいは商談の優先度の低いリードでした。企業に属さない個人やSMBの割合が高く、商談獲得の観点で非効率な施策となっていました。

考えたこと

この結果を受けて、クライアントの「有効リード」という定義が、プラットフォーム(Facebook)にとっては認識しにくい情報であり、これをもとにカスタムオーディエンスを作成して類似拡張配信をしても、質の高いリードを獲得するのは難しいのではないか、と考えました。
裏を返すと「プラットフォームにとって判別しやすい情報」でカスタムオーディエンスを作成し類似配信することでリードの質を高めることができるのではないか?と考えました。

取り組んだこと

CRMから抽出するデータは、商談につながったかどうかに関わらず、ターゲット像に近しい企業の顧客リストを「企業規模」によって選定し、カスタムオーディエンスを作成し類似配信を新規キャンペーンで行いました。
顧客リストは個人情報に当たるため、選定作業には注意を払いました。具体的には、こちらで選定作業をするのではなく、クライアントのCRMご担当者に媒体への顧客リストの取り込み方法をお伝えし、顧客リスト抽出からプラットフォームへのインポートまでをご対応いただきました。
「企業規模」での判別はクライアント担当者の主観による部分が大きかったです。「上場企業」「業界中堅~大手」と判別されたリードの「メールアドレス or 電話番号」を500件ほど抽出いただきました。

結果

結果、リード単価を維持したまま、有効リードの獲得比率が向上しました。また、上場企業や業界大手など、今まで獲得できていなかった企業規模の大きなリードが含まれるようになりました。(短い期間での検証であり、かつプレ/ポストでの比較ですので、統計学的に確からしい結果を得るまでには至っていません)
上記結果の背景について、以下に補足をしておきます。
  • 適格リードの割合はクライアントご担当者の主観。主に企業規模で判断
  • 上記の期間中に実施していた他の施策は検索広告(月80万円程度)のみ
  • 上記の期間中に、広告以外の目立った施策は行っていない(プレスリリースやLPOなど)

学びと考察

今回の結果を受けて、以下のような考察をしました。
  • 定義された「有効リード」「商談化リード」で盲目的にカスタムオーディエンスをつくって類似拡張配信するだけだと、期待する効果が得られないかもしれない(もちろん、それら「有効リード」の定義に、企業規模や性別などのプラットフォームが判別しやすい情報含まれていれば上手くいくことはある)
  • 重要なことは、「プラットフォームが保有するユーザー情報に適した切り口」で自社の顧客リストを抽出してカスタムオーディエンスをつくること
  • Facebookはユーザーの勤務先などのデータも保持しているため、企業規模で抽出した顧客リストが上手く機能した可能性がある
まとめると、
  • プラットフォームはどのようなユーザー情報を保有しているのか
  • 最適化されやすくなる顧客リストの切り口は何か
という二つの観点でカスタムオーディエンスを作成し類似拡張配信をすることで、有効リードの獲得比率を改善し商談獲得への有効性を高める事ができるかもしれません。

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