TikTok広告のポリシーと審査チェックリスト

「TikTok広告を始めたいが、どんなところに注意すればいいかわからない」「広告審査に落ちてしまったがどうすればいい?」
Web広告担当者の方の中には、このような悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
TikTok広告はポリシーが厳しいため、なんとなくで広告クリエイティブやランディングページを作っても審査で落とされてしまうことが珍しくありません。
そこでこの記事では、TikTok広告において注意すべきポリシーや、広告が否認されてしまう理由、広告入稿時に気を付けるべき点などについて詳しく解説していきます。
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【この記事でわかること】
  • TikTok広告のポリシー
  • TikTok広告の審査に落ちる主な原因よくあるTikTok広告の否認理由
  • Tiktok広告の審査に落ちた際の対処法
  • 広告審査のチェックリスト
  • ECサイトの広告を入稿する際の注意点
  • TikTok広告クリエイティブと設定のポイント
TikTok広告に関する概要的な説明に関しては以下の記事をご覧ください。
また、審査に限らない様々な注意点についてまとめた記事もあるので合わせてご参考いただければと思います。

TikTok広告のポリシー

TikTok広告を始める前に、まず広告ポリシーについてきちんと把握しましょう。当然ですが、ポリシー違反となると広告が否認されてしまい配信されません。
「配信予定の広告クリエイティブ」と「業界・業種」がTikTok広告のポリシーに違反していないかどうか、事前にしっかり確認しましょう。
それぞれ、詳しく解説していきます。

広告クリエイティブ

広告クリエイティブに関しては、様々な禁止事項が設けられています。以下のような場合はポリシー違反となってしまうので注意してください。

ランディングページが不完全な状態である

広告をクリックした際に遷移するページである「ランディングページ」は、完全な状態でなければなりません。以下のケースでは、TikTok広告においては「不完全なランディングページ」と見なされてしまいます。
  • 期限切れやエラーが発生するページ
  • まだ作成中のページ
  • コンテンツ内容が不十分なページ
  • モバイルに対応していないページ
  • ユーザーの携帯電話に自動でファイルがダウンロードされるページ
  • メインコンテンツへアクセスするために、ユーザーが個人情報を入力したり追加プログラムをダウンロードしたりする必要のあるページ

禁止された商品やサービスが含まれている

配信対象国によって多少差はあるものの、TikTok広告では、一般的に以下のような商品やサービスを広告クリエイティブに含ませることを禁止しています。
  • 動物(生きた動物・動物の死骸・動物の部位など)
  • ポルノ(性玩具・潤滑剤・性的なファンタジー衣装など)
  • 成人向けエンターテイメント(ホストやホステス・性的サービスなど)
  • 出会い系(援助交際・不倫・性的な出会いなど)
  • 性的な薬物や投薬や道具(ペニスの増大・豊胸など)
  • ギャンブル(オンラインカジノ・スポーツ賭博・宝くじなど)
  • ギャンブルを助長するもの(ギャンブルで使用するクーポン・オッズ計算など)
  • タバコ(葉巻・電子タバコ・タバコ摂取の代替品・巻紙・喫煙用パイプなど)
  • タバコ関連の施設(シガーバー・水タバコラウンジなど)
  • 著作権侵害行為(無許可の偽造品や複製品・本物を装った非正規品など)
  • 薬物(違法薬物・処方薬・麻薬道具・無認可の薬局・薬物乱用の描写など)
  • 警察や軍の装備品(制服・手錠・警棒・ブーツなど)
  • 政治的なもの(公職候補者や政党に対する言及・公職候補者や政府職員の配偶者による広告など)
  • 許可されないビジネス手法(スパイウェアやマルウェアを利用しての情報取得・文書の改ざん・根拠のない主張や虚偽情報・有害なビジネスモデルの提案など)
  • 不適切な事業(中絶施術・葬祭業・有害な化学製品・臓器売買・モデルやインフルエンサーの募集など)
  • 武器(刃物・ナイフ・爆弾・花火・火炎放射器・銃の部品・弾薬など)

ランディングページに完全かつ正確な情報が掲載されていない

ランディングページには、広告配信を行う企業や個人についての情報が完全かつ正確に掲載されていなければなりません。国や地域によって掲載すべき情報は変わってきますが、以下の情報については掲載が必須となります。
  • 電話番号、メールアドレス、ファックス番号といった連絡先の詳細
  • 会社名
  • 会社の住所
  • ビジネスライセンス
  • 価格表示
  • 利用規約
  • 配送情報
  • プライバシーポリシー/返品ポリシー/返金ポリシー
ランディングページに充分な情報が掲載されておらず広告掲載が拒否された場合は、広告が承認されるために必要な追加情報を求められます。

TikTok要素

許可なくTikTokのロゴを含めるなど、TikTokが推奨しているかのような表現をすることは禁止されています。

業界

業界・業種によっては、無条件でTikTok広告を配信できない場合があります。主に、射幸性の強さや、薬物・医療・性的なサービスといった業種が禁止対象です。
具体的には、以下のようなサービスに関する業種が広告配信の禁止対象となります。
  • 先物取引や外国為替
  • クレジットカードのキャッシングサービス
  • 海外の機関が提供するファイナンシャルサービス
  • 医療機器
  • オンライン薬局
  • 避妊道具や避妊薬
  • 海外の不動産取引
  • ゲームでの換金
  • 有料ガチャ
  • ホストやホステスがいるクラブ
  • メイド喫茶
  • 豊胸やホルモン治療をする国内美容外科
  • ファクタリング(給与前払い)
  • 海外の医療機関や医療サービス
  • 高齢者向けの治験
  • 基準を満たさない出会い系ビデオチャット
  • 動物の生体販売
  • 公営ギャンブル
  • パチンコ店やパチンコ機
  • 根拠のない射幸的なサービス(楽して儲かる系の情報商材や在宅ワーク商法など)

TikTok広告の審査に落ちる主な原因

TikTok広告を配信するための審査に落ちてしまう原因はいろいろですが、特に以下の3つの原因のいずれかであることが多いです。
  • 知的財産権を侵害
  • 一貫性のないクリエイティブ
  • 一貫性のない情報

知的財産権を侵害

知的財産とは、人間の知的な活動によって生まれたアイデア・技術・物などのことで、こうした知的財産を保護するための制度が知的財産権です。
知的財産権は、全部で10個存在します。
知的財産権の種類内容
特許権いわゆる「発明」を保護する
実用新案権「発明」の小規模なものを保護する
意匠権オリジナルのデザイン・物・建築物などを保護する
商標権自社が扱う商品・サービスを他社のものと区別するための文字やマークを保護する
著作権作者の創作物を保護する
不正競争の防止自由競争の範囲を逸脱しないようにする
育成者権植物の新品種を保護する
地理的表示法伝統的な製法や生産地の特性と結びついた産品の名称を保護する
回路配置利用権独自開発された半導体チップの回路配置を保護する
商号会社の名称を保護する
当然TikTokでも知的財産権を尊重しており、他社の知的財産にあたるものを無断で使用している場合は広告が承認されません。
著作権と商標権に関しては、以下のような公式のヘルプも存在するため、広告やランディングページに何かしらの知的財産権侵害がないか確認するようにしてください。

一貫性のないクリエイティブ

広告見出しや広告テキスト、広告画像などを含むクリエイティブが、遷移先のランディングページの内容と一致していなければ、広告に一貫性がないと判断されて否認となってしまいます。
例えば、広告では商品Aについての訴求を行っているのに、ランディングページでは商品Bが紹介されている、といったようなケースです。
また、広告クリエイティブ自体に一貫性がないのも否認要件となります。広告見出しでは「自分のマンガを創作しよう」となっているのに、対応する広告動画では「未来の自分と出会おう」といったようなズレが生じているような場合です。
広告には、一貫性を持たせるようにしましょう。

一貫性のない情報

TikTok広告では、ユーザーの誤解を招くような一貫性のない情報がないか、といった点についても厳しく審査されます。
その結果、2021年第2四半期には、広告ポリシーやガイドライン違反を理由として1,829,219件もの広告が却下されています。
費用をかけて広告を配信する以上、なんとかして成果を出したいという気持ちが先行し、誇張表現の入ったきわどい広告を作成してしまう広告主も少なくないと思われますが、そのほとんどが却下されてしまうため、誤情報や誇張を含まない一貫性のある広告配信を心掛けましょう。

よくあるTikTok広告の否認理由

TikTok広告でよくある広告の否認理由には、以下のようなものがあります。
  • 法令違反の効果保証
  • 禁止の業種
  • 動作の誘導
  • 法令違反のビフォアアフター

法令違反の効果保証

法令に違反するような効果保証を謳った広告はポリシー違反となり、認められません。
特に多いのが、薬機法違反によるものです。薬機法とは、医薬品や化粧品、医療機器などの品質・有効性・安全性を確保するために、製造方法や販売方法、流通、広告などについて細かく定められた法律です。
薬機法で承認されている効果以外の効果効能や安全性の保証についての表示は、すべて却下となってしまいます。
  • 3日間でシミが消える
  • 1か月で必ず10kg痩せる
  • 不治の病が治る
却下となる代表的な表現が、上記のような効果保証です。
また効果を保証しなくとも、「このローションを使って今すぐスリムな脚を手に入れよう」「10秒でお金を手に入れよう」といった大げさな表現もNGとなります。

禁止の業種

前述しましたが、TikTok広告では広告配信が許可されない業種があります。代表的なものは「ポルノ」・「ギャンブル」・「医療」・「射幸性を煽るサービス」となります。
禁止の業種に当てはまってしまっている場合は、いくら正確な情報を載せた広告クリエイティブであっても承認されることはありません。広告配信を検討する前に、自社の業種が禁止の業種に含まれていないかどうか確認するようにしてください。

動作の誘導

広告クリエイティブに、無効なボタンや誘導的なジェスチャー・テキスト、サポートされていない機能を表すボタン・ジェスチャー・テキストを含むことはできません。
例としては、ユーザーが広告を上にスワイプしても次の動画が現れるだけなのに、広告の中に「詳しくは上にスワイプ」といった文言が含まれているようなケースです。このような広告はユーザーにストレスを与えるだけなので、否認要件となってしまいます。

法令違反のビフォーアフター

薬機法で承認された効果以外の効果効能を、ビフォーアフターという形で広告にするのもNGです。
美容クリームの使用によって段々とシワが消えていく様子を、使用前・使用後とで比較するような広告がこれに該当します。
画像通りにシワが消えたり歯が白くなったりするといった誤認を防ぐため、TikTok広告では根拠のないビフォーアフター画像をクリエイティブとして使用することを禁止しています。

Tiktok広告の審査に落ちた際の対処法

TikTok広告の審査に落ちてしまったとしても、今後一切TikTokで広告を配信できないというわけではありません。
「再審査の請求」や「異議申し立て」によって再度審査が行われ、広告配信が可能となる場合もあります。

再審査の請求

広告審査に落ちてしまった場合は、広告マネージャーにある「お知らせセンター」から審査落ちの理由がわかるようになっています。
ポリシーに抵触している場合は、「広告マネージャー ⇒ 広告 ⇒ 編集」と進み、指摘された箇所を修正しましょう。修正してから保存ボタンを押すと、自動的に広告の再審査が始まります。

異議申し立て

広告を編集できない場合や、どんなに広告を確認してもポリシーには違反しておらず「TikTok広告側に間違って否認されてしまった」と判断したような場合は、異議申し立てを行います。
広告マネージャー画面の右上または右下の隅にある「?」マークから「広告主サポート」をクリックし、異議申し立てを行ってください。

広告審査のチェックリスト

無駄な審査落ちを防ぐために、広告を審査に出す前には以下の点について充分に確認するようにすべきです。
  • ランディングページ
  • 広告メッセージ
  • 広告言語
  • HTTPSの使用

ランディングページ

広告審査に落ちてしまう理由として、ランディングページの不備が挙げられます。
例えば、会社情報やプライバシーポリシーといった必要な情報が掲載されていなかったり、ランディングページ自体がまだ完成していなかったりすると、審査を通過することができません。
その他、以下のようなランディングページも審査落ちの原因となりますので注意しましょう。
  • モバイルに対応していない
  • ユーザーの携帯電話に自動でファイルがダウンロードされてしまう
  • ユーザーが個人情報を入力しないとメインコンテンツへ辿り着けない

広告メッセージ

広告とランディングページに一貫性があるかどうかも非常に重要です。
広告では「A」という商品を訴求しているのに、広告をクリックしてランディングページへ遷移すると「B」という商品が表示される、といったような場合は、一貫性がないと判断されてしまいます。
また、広告クリエイティブとランディングページの内容に齟齬があるような場合もNGです。広告では「●月●日まで30%OFF」と記載されているのに、ランディングページではそういった記載が一切なかったり、記載があっても表記内容が広告と違っていたりすると審査に落ちてしまいます。
広告クリエイティブの一貫性、そして広告とランディングページとの一貫性についてしっかり確認してから審査に出すようにしましょう。

広告言語

広告とランディングページが、TikTok広告の言語ポリシーに準拠しているかも事前にチェックしておきましょう。
確認項目は全部で6つありますが、要は「広告テキストやランディングページの言語が、広告配信対象の国の言語と一致しているか」といった内容となっています。
確認項目の詳細については、以下の公式ヘルプページをご覧ください。

HTTPSの使用

「HTTPS」とは「Hypertext Transfer Protocol Secure」の略で、HTTPよりも通信の暗号化が強化された安全性の高い通信方式のことです。
TikTok広告では、ユーザーの安全性を確保するために、ランディングページでHTTPSを使用することを推奨しています。現在、HTTPでは安全性が確保されているとは言えず、実際にGoogleとAppleは基本的にHTTPのプロトコルをサポートしないと明言しています。
顧客からの信頼を損なわないためにも、広告の遷移先ページでは必ずHTTPSを用いるようにしましょう。

ECサイトの広告を入稿する際の注意点

ECサイトの広告を入稿する際は、以下の点に注意する必要があります。
  • LPに必要な情報を記載する
  • 優良誤認表示にならないようにする
  • 著作権侵害に気を付ける

LPに必要な情報を記載する

商品やサービスを販売するECサイトのランディングページ(LP)には、以下のような必要情報を記載しなければなりません。
  • 会社名
  • 会社住所
  • ユーザーの問い合わせ先(メールアドレスや電話番号)
  • 利用規約
  • 特定商取引法による記載(価格、送料、キャンセルや返品の条件、引き渡し時期)
  • 返品・返金ポリシー
  • 問い合わせ窓口
  • プライバシーポリシー
これらの情報が不足していると不適切なランディングページと判断され、広告配信ができない場合があります。

優良誤認表示にならないようにする

優良誤認表示とは、明確な根拠がない状態で、実際の商品やサービスよりも品質が良いと誤解させるような宣伝をすることを指します。
景品表示法第5条第1号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、
(1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの(2)事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの
であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。
従って、「NO.1」や「最も売れた」といった表現を使う場合には、客観的なデータに基づく根拠を明示する必要があります。
第三者機関による調査結果などを掲載できない場合は、優良誤認を招くような最上級表現を使用することはできません。

著作権侵害に気を付ける

TikTok広告では、知的財産権を侵害するような広告は許可されません。中でも、著作権侵害はやってしまいがちなミスですので気を付けましょう。
仮に他社のロゴや商標を使用する場合は、必ず相手から使用許可を得る必要があります。

TikTok広告クリエイティブと設定のポイント

TikTok広告のクリエイティブは、配信先の特性を考慮して作成すべきです。
👉
【TikTok】序盤にユーザーの興味がわくような内容を持ってきつつ、広告だと思われないようなユーザーに馴染むコンテンツを意識する。
👉
【Pangle】リワードビデオ広告枠に表示可能な25秒から30秒の縦型動画を優先的に用意しつつ、プレイアブル広告も活用する。
また広告設定のポイントですが、動画や静止画など、なるべくいろいろな広告フォーマットを用いて配信するのがおすすめです。そしてターゲティングについても、あまり絞りすぎず、できる限り対象を広げ、広告セットの日予算を「設定CPA×20倍以上」にするのが理想です。

まとめ:TikTok広告を始める前に注意点を確認しておこう

以上、TikTok広告を始める際の注意点や、審査落ちした際の対処法などについて解説してきました。
TikTok広告での広告配信には厳格なポリシーがあるため、適当に広告クリエイティブやランディングページを作っても審査に落ちてしまう可能性が高いです。
無駄な時間や労力を生まないためにも、事前にしっかりと広告配信に関する注意点を確認するようにしましょう。

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