【TikTok広告】ダイナミックリタゲ依存軽減のためにTikTok広告(Pangle)を配信して起きたこと

私の担当する支援で、ダイナミックリターゲティング(Criteo, RTB House)依存の高い状況を緩和するべくTikTok広告を実施したところ、期待以上の成果が得られました。一方で、成果以外の面でいくつかの懸念も生まれましたので、それぞれの概況をシェアします!

背景

本ケースでは、「ダイナミックリターゲティング(Criteo、RTB House)への依存度の高さ」が長らくの課題でした。ポストクッキー時代に向けたリスク低減のため、様々な媒体にチャレンジを続けており、今回新たにTikTok広告を開始しました。

良好な成果と、生まれた懸念

良好な成果

TikTok広告を実施した結果、ダイナミックリターゲティングと同等のCPAで、同水準の配信量まで拡大することができました。これは期待以上の成果でした。
※ちなみに、本ケースはコンバージョンポイントを「サイト上の特定アクション(例:「詳細を見る」ボタンの押下、など)」としています。

補足:プレースメント

プラットフォームの推奨設定に従って、プレースメントは制限せずに「自動プレースメント」を選択しました。その結果、今回の配信環境ではほぼ100%が「Pangle」への配信となりました。本記事は「TikTok広告」というテーマではりますが、実質「Pangle」の事例になっています。以下、その前提での説明となります。
💡
Pangleとは? TikTok For Businessが運営するモバイル広告プラットフォームで、TikTok広告の主要配信先のネットワークのひとつ 参考:モバイルアプリプラットフォーム Pangle
プレースメントの設定画面
プレースメントの設定画面
Pangleは、動画リワード広告(例:漫画アプリ内で動画広告を視聴すると報酬が得られる)やインタースティシャル広告が多く、全画面占有で広告表示されます。
広告視認性の高さから、相対的にCTRも高くなりましたが、一方で、CVRはCriteoやRTB Houseと比較して「10~15%」と想定よりも低い水準でした。しかし、かなり低いCPCで配信できたため、前述の通り、ダイナミックリターゲティングと同等のCPAで同水準の配信量まで拡大することができました。

生まれた懸念

成果面は期待以上だったのですが、
  • CPCとCVRの低さから、セッションの質が低いのではないか?
  • 親和性の低いユーザーを大量に来訪させてしまうことで、ブランドイメージに悪影響を与える恐れはないか?
という懸念が生まれました。これについて、アクセス解析ツール等から考察をしました。

セッションの質

以下の指標について、簡易的に「セッションの質」という観点で比較してみました。結果として、「少なくともダイナミックリターゲティング施策よりは良い」と言えそうな実績でした。
  • イベント数/イベントの発生したセッション
    • ダイナミックリターゲティング施策と比較して「約5倍」
  • 平均セッション時間
    • 平均セッション時間:「全体の平均セッション時間」「ダイナミックリターゲティング施策の平均セッション時間」のどちらも上回る
    • CVしたセッションの平均セッション時間:ダイナミックリターゲティング施策の「約2倍」
  • 新規セッション率
    • ダイナミックリターゲティング施策を上回る

補足:トラフィック増加によるサイト運営関係者への影響

低CPCによりクリック数が急増し、TikTok広告経由のセッション割合が全体の4割にまで増加しました。これにより、関係者に対して「トラフィック量増加によって、サイト全体の各指標に影響が出る可能性」についてご認識いただく必要が発生しました。

おわりに

今回は初動報告ということで、成果面での実績と生まれた懸念について、現時点での評価をご紹介しました。広告主の事業内容や、広告目的、配信プレースメントによって得られる結果も変化すると思いますが、施策導入の参考になれば幸いです!

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